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執筆者の写真瑞生桜子

舞台「鋼の錬金術師」終演

更新日:2023年4月2日

舞台「鋼の錬金術師」3月26日に無事終演いたしました。


劇場や配信でご観劇くださいました皆様、お世話になりました全ての関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。


稽古本番を振り返ってみると、大変だった時間も楽しかった時間も山のように積み上がっていますが、総じて実りある素敵な時間だったなぁと心から思います。


ノートの1ページ目はいつも自分の役を構築する上で軸となるような演出家からの言葉を書いておくことが多いのですが、今回は原作漫画第1巻の巻頭コメントを書き写していました。きっとこの作品を創る上で忘れてはいけない大切な感覚の話なのではないかと、個人的に思っていたからです。



これだけ壮大な生命の意味についての物語を、こういった軽やかな感覚を持って描ける荒川先生の、世界を見つめるその眼の厳しさや愛情深さが、私には眩しいほどカッコ良く見えて、子供の頃読んだ時には到底感じられなかった味わい深さを噛み締めて読み進めた漫画鋼の錬金術師。これだけの強度で完成された作品を、石丸さんはどうやって舞台化するのだろう?とドキドキしながら台本を読んだのは昨年12月末。個人的にどんな作品も終わり方が全てと言っても過言ではないくらい大切だと思っていて、一体これだけ長い物語のどこまでを区切って今回は描くのだろう・・・?と思いながら台本を最後まで読み終えた時、その見事な終わり方に小躍りした記憶があります。終始一貫して主人公エドとアルの出逢いと成長の物語として構成されている本の中で、兄弟が最後に出逢う光景があまりにも大きな歓びに満ちていて、そんな美しい光景を真っ直ぐ受け止めたくなるくらいには、物語前半から中盤にかけてしっかりと世界の陰を映しているので、これはきっと観客席は誰一人こぼさず共に喜びを分かち合えるのだろうなぁ・・・とぼんやり想像していました。


いざ稽古に入ってみると、自分で大事だと思って書き写していた巻頭コメントのこともすっかり忘れ去り、目の前のことに捕らわれてしまった時間も度々ありましたが・・・笑

マリアロスというキャラクターを創る上では、まず第一に軍人であるという事、そしてこの物語の中で描かれているロス登場シーンは、ほぼ全てが勤務中であるという事を念頭に置いて分析した記憶です。どれほど体現できていたのかは不明ですが・・・事前に観ていたドキュメンタリー映像などで、二人一組で行動するバディとは命を預けあっているので、心から信頼し合える関係性を築けているというのが基本なのだと知り、今回のバディであるブロッシュ役の原嶋さんに色々とお話をしてみたところ、とっても素敵な反応で一緒にいろんな可能性について語らいあってくださいました。本当にお芝居が好きな方なんだなぁ・・・と肌で感じ一瞬で信頼できたので、無理せずにキャラクターの関係性を構築していけたのは本当に感謝感謝でした。


2幕後半のパニーニャに関しては、ヒロインであるウィンリィの成長を描くために存在している役割なので、きちんと対比できるように作らなければならないなと思いながらも、彼女が纏っているであろう匂いを出すのが本当に難しく苦戦した記憶です。最終的にきちんとそこに行き着けていたのかは自分ではわかりませんが、観てくださったお客様や、演出の石丸さんが良かったと言ってくださったので、よしとさせて頂きます。笑


座組という観点でみると、いろんな方が仰っていましたが、劇団のような空気感の座組だったなぁと思います。その暖かい空気の中心にいらっしゃるのは紛れもなく演出家の石丸さんで、演出家がここまでの熱量で立っているのであれば、自分たちも絶対負けられないぞ!!!と座組全体の空気がぎゅっと引き締っていく瞬間を何度も体感しました。観客として石丸作品を観る時、演劇や人間に対する向き合い方の純度の高さが温かくて美しいなぁといつも思っているのですが、稽古場で久方ぶりにご一緒させて頂くと、なるほど!!!こういう時間の積み重ねが作品の温度に繋がっているのか!!!と発見する瞬間が幾度もありました。あとは、個人的に稽古中印象に残っている大きな出来事として、色々なハプニングが重なり、一度だけ石丸さんとお芝居が出来た日がありました。演出家が通し稽古を止めない為に、そして俳優の熱を落とさない為に自ら台本を持って代役をやっていらっしゃる光景は、私自身の俳優人生では初めての経験でしたし、何よりも俳優として対峙してみたときに、改めてその懐の大きさや視野の広さに驚きました。同時に自分自身が心底ワクワクしていることにも気がついて、その場にいる共演者にこれだけ大きな影響を与えられる俳優でありたいな・・・自分も・・・と心から思ったのを覚えています。あの瞬間は今でも覚えているくらい、とても楽しかったです。いつの日か俳優の石丸さんとお芝居がしてみたいなぁ・・・と素直に思いました。


男性比率が多い座組の中で、女性陣も本当に素敵な方ばかりで感謝しています。

出番が被っているシーンが多い事もあり、必然的に一緒に居ることが多かった斉藤瑞季ちゃんは稽古中もちょこちょこ話すことが多かったけれど、大阪公演中に一気に仲良くなった記憶。会話の返しがとても面白くて、人間的な芯の強さを持っていて頼りになるし、私の身に降りかかった出来事をまるで自分事のように捉えて、私以上に心を動かしてくれる真の優しさを持った、居心地のよい人でした。


小野さんは、以前にボクハレを観劇した際にカッコイイ方だなぁ・・・と一方的に好きになっていた事もあり、お話できる機会をずっと探っていたのですが、大阪公演中色んなお話をさせてもらい、ひーさんのチャーミングな部分を沢山知る事ができて、個人的には大変嬉しかった記憶です。あぁ、この方はとっても愛情深い方だ・・・と思える瞬間を私は何度も目撃しているので、イズミ師匠のシーンはいつも楽しみに拝見していました。


沙央くらまさんは宝塚現役時代から一方的に存じ上げているスターさんだったので、初めの頃は緊張していたのですが、話してみるととっても柔らかく思いやりの心に満ちた方で、誰に対してもフラットに会話をしてくださるので相談も含めて沢山お話しさせて頂きました。子育てをしながらの舞台復帰は、きっと想像を絶する過酷さだったと思いますが、そんな様子は一切見せずに、いつも明るくニコニコしていらして、本当に素敵な方だなぁといつも思っていました。これからも美と健康に関する事で困った時はすぐにコマさんに連絡するぞ!と勝手に決めています。笑


鏡前がお隣でピーチクパーチクひたすら話している煩い私に怒る事もなく仏の心でいつも微笑んでくださっていたみなみさん。アクションをしていらっしゃる姿はとってもカッコよく、普段の柔らかな空気とのギャップがまた素敵で、国際志向のお話も一緒に出来て楽しかったし、魅力に溢れた方だなぁと思いながら見つめていました。私も鍛えねば!!!!とみなみさんを見るたびに思っていた記憶です。


久下さんはずっと明るい笑顔で稽古場にいてくださり、女子楽屋でもとっても天然な言動にいつも笑いが起こっていて、コメディが好きでコメディをこれからもやっていきたいんだ!なぜなら・・・といつの日か熱く語ってくださったその言葉を体現するように存在してくださっていたのが印象的でした。


最後に、我らがヒロイン!りんちゃん。

現役のAKB48メンバーで、他のお仕事もしながら稽古本番も入って・・・と超多忙なスケジュールの中で、セリフは完璧に入れてくるし一度言われたことは次からきっちり出来るようになっている、そのプロ意識の高さが本当に素敵だしカッコイイなぁといつも思いながら見ていました。



男性陣も本当に・・・ほんっとーーーうに!!!素敵な方ばかりで、一人一人書き始めたら永遠にかけるのですが、長くなりすぎるので・・・笑

今日はこれまでにしたいと思います。


最後に・・・千秋楽直後プロデューサーの並木さんが涙を浮かべながら一人一人に記念品を手渡すと共に、ありがとうを伝えにきてくださいました。ご自身が入社当時からずっと願っていらしたハガレン舞台化企画が実現し、完遂した瞬間のなんとも言えない表情がとても素敵だったなぁ。稽古場からずっと支えてくださったスタッフの皆様には感謝の気持ちが溢れております。またいつか再会出来ますように・・・


ありがとうございました。


瑞生桜子

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